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さらば青春の光

We're the MODS = psycho




私の場合、青春=中二病だったこともあり、思い出すとあの頃は楽しかった、というよりもむしろ、あの頃は恥ずかしかった、という思いが強い。

もちろんこの洋楽モッズ好きにはたまらないイギリス映画『さらば青春の光』も、若者たちの青春を描いた作品だが、ムーブメントの中心にいたモッズキッズたちも、ある種そういう「恥ずかしい」思いを抱いたことがあるかもしれない。

1950sにアラン・シリトーをはじめとする労働者階級を描いた作家や、ドキュメンタリー映画が人気になってから、イギリスでは労働者階級たちが戦前よりも強い力を持っていた。イギリスというとわれわれが思い浮かべる、カントリーハウス、執事、ジェントルマンは、イギリスでも上流階級の文化なので、それ以外の階級の人たちは無視されているに近い。そんな彼らが力を持つようになった第二次世界大戦後、1960sはThe Beatles(Johnは中流階級だけども)やら、モッズやらの労働者階級の文化が流行り、逆に中流階級であることは恥だなんていう潮流があったらしい。

そのモッズも、映画を観ていくとすぐ終わってしまうようなムーブメントではあったが、彼らが祖国イギリスで存在を認められるようになった大きなものであったのには違いない、だろう。

The Whoの同名曲"Quadrophenia-四重人格-"に沿って展開していく物語が、これまた随所随所にBGMで流れる曲といいようもないほどマッチしていて感動を誘う。

登場人物の若者たちが、パリッと決めたスーツに、モッズコート(これは当時英国軍の支給品で、安上がりにスーツから埃を守れるとかいう理由で着ていたらしい)、コテコテにデコりまくったヴェスパといういでたちで、60年代の音楽に合わせて踊るシーンとか、ヴェスパで走るシーンとか、とにかく何もかもが様になっている。

なんかよくわからないマフィアの暴走族にも見える....

話の展開としては、いまいち仲間の中でも彼女ができなず冴えない(?)青年ジミーが、ブライトンで仲間と羽目をはずす際に意中の彼女をしとめるも、モッズ軍対ロッカーズの乱闘がきっかけですべてを失う、という感じ。


結論から言うと、ジミーは憧れの先輩エースが、昼間はホテルのベルボーイでこき使われている様子を目にして、くだらないからといって郵便局の仕事を辞めたジミーは、自分の理想像が打ち砕かれてしまい、エースのヴェスパを崖から落として大破させる、、、、、

まあ、このラストは諸説あって、ジミーは死んだとか死んでいないとかがあるんだが、私は勝手にジミーは死んでいない説を取りたい。
人物としてのジミーはここで死んでいないが、モッズ青年としてのジミーは死んだ、と私は思う。



勝手に歴史背景なんかと合わせて、もともとそれまでは軽視されていた労働者階級の青年を、モテないジミーは体現しており、それがブライトンのモッズ対ロッカーズの暴動で、"We're the Mods!"と謡うところで彼らの力は最大となる(そのときにようやくジミーは意中の相手ステフをゲットしているし、憧れの先輩エースと同じ補導車両でタバコをもらう)が、その後勢いはどんどんがた落ちし、ヴェスパが大破するところでモッズの力も衰える、という展開なんじゃないかと考えているところ。

エース。演じるのはPoliceのSting。かっけえ。

ブライトンで一緒に暴れた仲間たちは逮捕された後でジミーを避けるようになり、ステフも暴動のことを当時は楽しんでいたのに、「あんなのは遊び」と一蹴。彼らからすれば、あれはちょっと恥ずかしい青春のひと時に過ぎない。しかし、ジミーはその現実が受け入れられない。

それまでは楽しくない郵便局の仕事も、夜の遊びで紛らわせていたのが、暴動が一気に"遊び"が現実となり、それまでの現実は現実として直視できない。The Bling Ringも観てなんだか同じことを感じたが、「夢をみすぎてはいけない」のだ、きっと。

まあ、わびしい話といえばそれで終わりだが、それでも最初と最後でジミーがさびしげに海岸を一人歩くシーンなんかは、かなり感慨があって大好きだ。

それにしても、モッズファッションって、当時流行ったイタリアのマフィアギャングたちに習ってはじまったらしいのだが、労働者階級がいくら福祉政策(1945年頃)でちょっとお金が入ったとはいえ、オーダーのスーツなんかそんなに作れるんだろうか、という疑問、、、


それにしても、このときのPhil Danielsのかっこよさは半端ない!!!
先日Blurの再結成公演を武道館に見に行ったのだが、その時はなんかめがねをかけたぽっちゃりのおじさんが、Damonと追いかけっこしてるな、ぐらいの認識で、その後にこの映画を観たから、衝撃がものすごかった。

これが、、、、
こうなる。時の流れはなんと残酷なものよ、、、

こうやって見てみると、顔が似ているアーティストとしてMiles KaneやAlex Turnerを思い出すのだが、ということは彼らの老後の姿はこれ...?????????いやだああああああああああああああああ



MilesとPhil。似てる。


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